シケた朝、色でも沈下速度でもなく「場所」で答えを出す
前夜までの雨で湾外はシケ。風裏の漁港を丁寧に探っても出ない。渋いときの三択のうち、この日効いたのはどれだったか。
動画解説
秋のエギング。前夜まで強い雨が降り、湾外はシケている——条件が整わない休日に、 どう組み立てるかを通しで見せた11分47秒です。選んだのは風裏になる漁港。 外は波が立っているので、まず安全に釣りができる場所という条件から入り、 そのうえで「雨が降って、若干水温が落ちてると思うので、潮通しの良い漁港を選びました」と、 水温の下がり方を潮で補う狙いを述べています。
朝マズメのローライトなので、カラーはシルエットが出るものを選択。 満潮は9時前後で、まもなく潮どまり。「それで反応が無ければ場所を変えたりして」と、 最初から場所替えを織り込んで釣り始めています。 堤防はいきなり先端へ投げず、根本〜中央付近から。「根本付近にもイカは居るので丁寧に探っていきます」。 ジェットチェイサーを投げ、着底まで送り込んでサビき、 当たらなければ落とし直さずにまたシャクる。
それでも序盤は出ませんでした。「全く釣れなくて焦って またオープニングを撮り直す」ほどです。 潮目を狙う手も打っています。答えが出たのはエリアを大きく変えたあと—— この動画の価値は、良型が出たことではなく、出るまでに何を捨てて何を選んだかが 順番どおりに残っているところにあります。
注目の瞬間
キーストンの分析
渋いときの手を3つ挙げ、順位までつけています。 「色を変えたり沈下速度を変えたりとか、一番良いのは場所を変えることだと思うんですけど、 イカが居る場所に行く」。実際にエリアを大きく移動し、そこで良型が出ました。 釣れた場所の共通点も明言されています——「ワンドになってベイトが溜まるポイントです」。 先に東氏が釣った場所も「ちょっとしたワンド」で、 「ベイトが溜まっている感じだったので やっぱりイカは着いてましたね」。
色と沈下速度は、イカが目の前に居ることを前提にした調整です。 居る個体が食わない理由を潰していく手なので、そもそも居なければ何を変えても答えは出ません。 場所を変える一手だけが、その前提自体を疑う手になります。順位が上なのはそのためだと考えられます。 では次にどこへ立つのか——秋のイカが着く場所をベイトから逆算すると、 風や潮に押されたベイトが溜まりやすい地形、すなわちワンドや駆け下がりが候補になります。 動画で「ここは駆け下がっていく地形ですね」と地形を読み、澄み潮を確かめてから入っているのは、 その逆算の手順がそのまま出たものと見られます。
「秋のエギングはベイトがキーになる」というのは、エギの選択の話ではなく、 立つ場所の選択の話だということです。実務に落とすと、ランガンを見切る基準が変わります。 「当たりが無いから移動する」では、色と沈下速度を一巡させてからでないと動けません。 「ベイトの気配が無いから移動する」なら、投げる前に判断できます。 条件が悪い日ほど、この判断の速さがそのまま探れる範囲の広さになります。
フィールドデータ
- 国
- 日本
- 季節
- 秋
- 時間帯
- 朝まづめ
- 対象
- アオリイカ
- 天候
- 小雨(前夜まで強い雨)
- 潮
- 満潮9時前後・潮どまり前
- 水色
- 澄み潮
- 製品
- ジェットチェイサー/エギシャープ
- 釣法
- エギング(ショア)
動画では見えないこと
動画のなかで東氏が言う「ジェットエギング」は、その場の言い回しではありません。 ジェットチェイサーの製品ページに「新感覚 ジェットエギング!」として 書かれている、キーストン側の提案そのものです。そこには開発の前提も書かれています—— 海水温が下がり始めるこの時期は、ベイト(小魚)の活性が1年で最も高まる季節であり、 「捕食スイッチの入った良型のアオリイカが、素速く動くベイトとチェイスする光景に遭遇することがある」。 ジェットチェイサーは、そのベイトの動きを演出するために作られたエギです。
つまり、この動画がたどり着いた「秋はベイトを探せ」という結論と、 製品の開発意図は同じ前提から出ています。動画では釣り場で結論に至り、 製品ページでは設計の理由として先に書かれている。順序が違うだけで、見ているものは同じです。
製品の役割
ジェットチェイサー
2.5号(20g) と 2.6号(22g)。極小サイズでありながら重量があり、 高浮力の硬質発泡ウレタン樹脂がテンションステイの姿勢を保ちます。 沈下が速いので、足場が高い場所や流れの速い場所でも底が取りやすい。 傘針は2.5号クラスながら、通常3.5〜4.0号に載せるKS06針です。
この日は前夜の雨で濁りと水温低下が予想され、潮通しの良い漁港が選ばれています。 潮が動く場所で底を取り直しながら広く探る組み立てに対して、 沈下の速さは1投あたりの時間を短くする方向に働きます。 序盤に堤防の根本から先端へ向けて丁寧に刻めたのは、この手数の確保があってのことと考えられます。
エギシャープ
2007年、創業者の故 金川源三が、従来の大分型を超えるエギとして開発した3.5号/3.8号。 高浮力の硬質発泡ウレタン樹脂を極限まで活かしたシャープなフォルムと、 このエギのために独自開発したKS06針が中心にあります。 沈下速度は V0(超スロー)/V0+(スロー)/V1(標準)/V2(ファースト)の4種類です。
動画で挙がる「沈下速度を変える」という手は、同じ号数のなかに4種類のフォールスピードが 用意されているからこそ、エギを持ち替えるだけで実行できます。 またジェットチェイサー2.5号(20g) は通常の3.5号エギとほぼ同等の重量で、 エギシャープ3.5号V1 の17gとも近く、 両者は同じKS06針を積んでいます。投げ感を変えずに持ち替えられる 組み合わせであることが、条件を探る釣りでは効いてきます。
有田の製造現場から
この動画で使用されたエギは、佐賀県有田町のキーストンの工場で製造されています。
2007年のエギシャープと、秋のショアのために作られたジェットチェイサー。 設計も号数も違う2本ですが、傘針は同じKS06針です。 規格の少ない市販の傘針では性能が頭打ちになる——その一点のために自社で針を起こし、 以来それを積み続けています。どちらも made in 有田。
MADE TODAY IN ARITA
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