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2026年5月の代表者挨拶

代表取締役からのご挨拶

代表取締役 金川信栄

2026年5月のご挨拶

早いものでもう5月。有田では今年も「有田陶器市」が開催され、町中が大勢のお客様で賑わっています。一方、今日も有田のキーストンの工場では、変わらずエギを作り続けています。北部九州ではケンサキイカ漁がはじまり、漁師の皆様といっしょに新しい模索を開始しております。先月4月は新作の金型を何本か切削しました。削っては合わせ、合わせては微調整する。この繰り返しが、結局のところ一番確実です。量産の現場では、ひとつ一つエギの目玉を丁寧に接着し、工程を進めています。地味な手仕事の積み重ねが、一本一本のエギになっていきます。

そんな現場の傍らで、外の世界では先月4月も、毎日がAIの衝撃ニュースばかりでした。Claude Mythos、OpenClaw、manus、LLM-jp-4、Qwen、Gemma4──衝撃の連発です。

さて、世界中で紛争が続き、政治的な不安定が広がるなか、ふと思い出した記事があります。
ものづくりに携わる人間として、妙に引っかかった話です。

■ 215年前の天才

エヴァリスト・ガロア(Évariste Galois, 1811-1832)。215年前のフランスの数学者です。

彼は「群論」と呼ばれる数学の体系を築いた人物です。

しかし、ガロアは20歳で決闘に倒れました(恋愛トラブル説やハニトラ説も!)。前夜、自らの理論を手紙に書き残し、翌朝、命を落とした。あまりにも短い生涯でした。

■ スマートフォンの中のガロア

驚くべきことに、彼が残した理論は、215年後の今、私たちの日常を支えています。

スマートフォンの暗号通信、複数の通信が同じ電波を共有するCDMA、QRコード、Wi-Fiの誤り訂正──
記事によると、これらの基盤には、ガロアが20歳で築いた有限体(ガロア体)と呼ばれる数学理論が使われているそうです。

20歳の青年が書き残した理論が、今この瞬間も、世界中の通信を守っている。数学というものの底力を、改めて感じます。


先日、AIの活用によって数学の定理や証明の発見が加速している、という記事を目にしました。
かつて20歳の若者が築き上げた定理が、200年後にスマートフォンという形で現代に息づいているように、
もしかしたら、ラマヌジャン(TVの特集で見ましたが、この方も衝撃でした)が残した多くの定理──まだ産業界では活用されていないらしい──が、次のブレイクスルーを生み出すかもしれません。

■ 失われたものの重さ

もしガロアが生きていたなら、世界はさらに変わっていたかもしれません。 そう思うと同時に、今も各地で続く紛争のことが頭をよぎります。若い命が失われるたびに、その先にあったかもしれない未来も、一緒に消えていく。

ガロアの時代から215年。
人類は技術を飛躍的に進歩させましたが、争いを止めることはまだできていません。

■ 静かな技術を手に

それでも、技術は受け継がれ、日常に息づいています。

ガロアの数学がスマートフォンの中で静かに働いているように、 先人たちの積み重ねは、形を変えながら今日まで届いている。

エギづくりは決してハイテクではありません。けれど、金型を削り、治具を調整し、ほんのわずかな差を詰めていく。この地道な積み重ねが、次の一本につながっていく。

私たちにできることはこれだけですが、技術は未来へ繋がります。
紛争は続き、不安な日々ではありますが、懸命に生きるのみです。

静かな技術を手に、今日も一歩、前へ進みます。

今月も、どうぞよろしくお願いいたします。

令和8年5月
株式会社キーストン
代表取締役 金川 信栄

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